イクス技研れぽーと
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2012
クアッドコプターの飛行制御について
概念図は右図参照(DIY Dronesのページより。非常に綺麗な図ですね)
ヨー制御
・4つのローターをそれぞれABCDとする。
・(前,右,後,左)=(A,B,C,D)
・ACローターは時計回り、BDローターは反時計回り
・クアッドコプター全体の吹き下ろし流の渦度は、個別のローターが生じる後流の渦度の和になる(ストークスの定理)。
・したがってACローター出力とBDローター出力が吊り合っていれば、全体としての渦度はゼロになるため、機体が受ける反作用もゼロになり回転しない。
・あえてこのバランスを崩せば、全体としての渦度が非ゼロ値を取り、気流の旋回の反作用として機体は回転する。したがってACローターとBDローターの出力バランスを制御することで、機体のヨー制御を行う。
・ABCDの出力の総和は一定に保つようにする。つまり、ACを下げるならば同時に同じだけBDを上げる。こうすることで、ヨー制御に伴う高度変化を無くすことができる。
ロール・ピッチ制御
・クアッドにとってロールとピッチは等価(機体の対称性から)なので、ピッチだけをここでは考える。
・Aロータの出力を上げ、Cロータの出力を下げればピッチは変化する。このとき、ACロータの出力総和を一定に保っておけばヨー運動は誘発しない。
・機体が傾いたときにクアッドの総出力が一定のままだと高度を維持できない。揚力の一部が横に逃げるため。ヘリコプターと同様。
・そのため、高度を一定にするには傾きに応じて総出力を上げなければならない。
・ロールとピッチを同時に引き起こせば、両者のバランスによって360度自由な方向に機体を傾けられる。ここがマルチローターの凄いところ。
・高度なクアッドローターは、操縦者に機体の前後左右方向を意識させない。通常、ラジコンを操縦するときは機体がどの方向を向いているかを確認しつつ操縦を行わなければならないが、クアッドローターには前後左右という概念がないので、コンパスを機体に内蔵しておけば「スティックを倒した方角へ機体を動かす」といったことが可能である。
以上まとめると
(A+C) - (B+D) = ヨーの制御量
A+B+C+D - 自重 = 高度の制御量
A - C = ピッチの制御量
B - D = ロールの制御量
という極めてシンプルなルールで3次元機動が行えることがわかります。
複雑な機構を必要とせず、モーターを4つフレームに直付けするだけでこのようなことが可能だというのは、信頼性の観点で非常に頼もしいです。
構造的にシンプルなのもさる事ながら、電子機器を載せるプラットホームとしても使いやすい形状で素晴らしいです。最近のブラシレスモーターは大体100Wあたり推力600g重ぐらいのイメージで、ペイロードに余裕があるのもGoodです。オクタローターぐらいにしておくと冗長性ももたせられます。
マルチコプターの飛行原理
12/09/06
あまりマルチコプター(クアッドなど)の飛行原理に関して説明をしているサイトが無いのはなぜだろうか。